「-----ハッッ!?」


目が覚める。


目の前の光景は、先程の惨状ではなく



青空が広がる、平和な空間。



息を整えつつ、辺りを見渡す。



通い慣れた学校の屋上。



右側には、自分のリュックと大量の文庫本。



それらを確認して、ようやく頭の中が冴えてきた。



そうだ、確か……



昼休みに入って、屋上に行って……



ベンチに座って、弁当食べて……



まだ時間あるから、本でも見ようとして………



多分、そのまま…………



となると、さっきのアレは………







「……………夢…………?」






上手く働かない頭で、結論を出す。



風が吹いて頬が冷たいのを感じ、手を伸ばす。




濡れてる。


私は、眠りながら泣いていた。



あの、悲しい夢を見て。



涙を拭い、そう悟った。



チャイムが鳴った。


だけど、ベンチから動かなかった。



…いや、動きたくなかった。



あまりにも悲しい夢が、頭に焼き付いてしまって。



夢の想いが、気持ちが、心に染み付いて。




そんな感情に翻弄されながら、時間だけが進んだ。