白熱した試合がくり広げられている。
青と黒のストライプが、私の高校のサッカー部のユニフォームだ。
相手校は袖ぐりと襟ぐりに白いラインが入っているけど、それ以外は赤一色というユニフォームで。
秋空の下、青と赤の対比がきれいだな、と関係ないことをつい考える。
声のかぎりに声援を送る。
頑張れ。
宏之、頑張れ。
いつの間にか、両手は前で祈りを捧げるように組んでいる。
試合はすでにロスタイムに入っている。
2対2。
2点とも宏之がゴールを決めた。
前半36分と、後半42分のことだった。
目を瞠るほど、鮮やかなシュートだった。
ハットトリックを起こすのは、本気だということを今さらながら、実感する。
宏之は本当に私とキスをするつもりでいる。
だったら、宏之の想いを受けて、私は勝利を信じて祈るしかない。
ストライプのユニフォームからストライプのユニフォームへ。
ボールを丁寧に確実につないでいく。
ゴール手前。
宏之にパスが渡る。
ドリブルでタイミングを見計らって、射抜くようにキーパーの後方のネットを見据えると。
右足から力強く蹴りだす。
行けた!
手ごたえはあっただろう。
誰もが追加点を確信する。
だけれど。
ボールはわずかに左にそれて。
ポールをかすめてバウンドすると、フィールド外にころころ転がっていく。
「……そんな」
すぐに試合が再開されるも、今度はなかなかボールを奪うことができない。
相手校のリードに持ちこまれる。
あれよあれよという間に、神業のごとく3点目を追加される。
どうしても、とり返さなければ。
イレブンたちに焦燥が広がって、瞬く間にふくれあがっていくのを感じる。
だけど、その焦りが仇となったのか、うまくパスをつなげられない。
時間がない。