「ふぎゃーーー!
にゃごにゃごーー!」

黒猫は何事かを訴えるかのように、首が痛くなりそうな角度で男を見上げ、大きな声を上げた。



「マイケル…わかってるって。
きっとなんとかなるから安心して。」

若い男はいつもと少しも変わらない眼差しで足元の黒猫を優しくみつめ、慣れた手付きでひょいと抱き上げた。



「ふぎゃ!」

黒猫は、すぐさま抵抗を開始する。
男の腕の中でもがき、身軽に地面に飛び降りた。



「……本当に君はつれないねぇ……」

若い男はそう言って小さく肩をすくめた。