塩辛はあまりにも衝撃的だった。

小鉢に入った塩辛は、それはそれはおぞましかった。
見つめ合うことしばし、食べれないんだなと分かった北島さんが黙って塩辛を私の前から消し去ってくれた。

かわりに出されたのは枝豆だ。

これは食べることができる。ホッと一息ついた。

店内は右側に6畳くらいの畳の間、テ
ーブルが二つと座布団が適当に並べられている。
畳はすり減り、年期の入れ具合を物語っていた。

左側にはそう呼ぶには少々はばかれるが、カウンターがあり、
その向こうに店主のおじさんがでっぷりしたお腹を披露しながら
にこやかにタバコを吹かしていた。

帰りたい。

心からそう思った。
なぜ北島さんはここに連れてきたんだろう?
ここで一体全体なんの話をするのだろうか?
だったら会社の方がまだましだ。