あの男が探している[双子]が、本当なら私と同じ年なのも、誕生日も本当なのではないだろうか。

ふと、葵に朝ご飯を作っている最中に思い立った。

私に探してもらうために教えたのなら、そうかもしれない。
だがやはり[双子]にしっくり来ない。
なにかが当てはまらない。

それに探すならあの男の誘いに乗ることになる。

「殺人……」

前ほど非現実的じゃなくなった言葉に違和感を感じる。
ここ最近殺人のことを考えていたからか、あるいはその行為にイケナイという概念が無くなってきたからか。

どちらにせよ、私はもう普通の人間じゃないのかもしれない。
殺人に興味を惹かれているのだ、傍から見たら要注意人物だ。

「江里子!」

突如声が思考を遮断した。
軽く押され、よろけてしまった私の肩を倒れないように反対側から支えられる。
手が添えられていた。

見ると、葵が目玉焼きを無造作に皿に置いている。

一瞬なにが起きたか分からなかったが自分の不注意に赤面する。

小さく、ごめん、と呟いた。