「え……?」



翌日の放課後、景は困惑の色を浮かべて俺を見た。

それはそうだろう。


俺は景から貰ったピアスを外し、差し出していた。



「預かってて欲しい。今日一日だけ」
「……どうして?」
「頼む。」



景は何も言わず、ただ俺の手を見つめた。



「何も、言ってくれないんだね。」
「…………」
「いいよ、分かった。預かるよ。」



そう言って笑いながらピアスを受け取る景。



「きっと意味のあることなんだよね。僕は律樹を信じてるよ。」




本当に………

俺はもう景なしでは生きていけないんじゃないだろうか。



「もしかしたら景を傷つけるかもしれない。もし景を傷つけて、それでも俺を許せると思ったら……その時はそのピアス、もう一度俺につけてくれ。」
「分かった。――何があっても信じてる。」



そして俺は教室に景一人を残し、その場を後にした。