雄平とも香織ともまともに口をきくことがないまま、冬休みに入り、年が明けた。
雄平のことは意図的に避けていたけれど、香織とは話をしようと機会をうかがっていたにも関わらず、叶わなかった。
けれどそれは、あたし自身がどこかで逃げていたのだと思う。
話をしたいなら休み中に外で会うことだってできたのに、それをしなかったのだから。
新学期が始まり、受験もいよいよ近くなる。
学校では、最後の進路相談が行われていた。
あたしに割り当てられていたのは一番最後の時間帯だったので、終わった頃には、もう外は真っ暗だった。
鞄と上着を教室に置いたままだったので、ひんやりとした廊下を足早に通り抜ける。
暗い教室が並ぶ先、三年二組の教室からは、誰かがいるのか、灯りがもれていた。
ガラガラと騒がしい音を立てて、ドアを開ける。
鞄に教科書を入れて帰り支度をしていたのは、香織だった。