新しいクラスになって一ヶ月と少し。
春の体育大会の準備が始まった。
この学校では体育大会が春と秋とで二回行われ、種目は春が陸上競技、秋が球技と決まっている。
チームは縦割り方式、つまり、一年一組と二年一組、三年一組が同じチーム、同様に二組のチーム、三組のチームと続く。
そして三年生が指揮を取り、学年の壁を越えて団結して優勝を目指すというもの。
運動バカの雄平は、体育大会のために生きていると言っても過言ではない。
出場種目と役割を決める学級会でも、教室の前に立って、
「二組絶対優勝ー!」
なんて騒いでいる。
このままいくと、
「応援団長は雄平君で決まりだね」
いつものように香織がクスクスと笑う。
「ま、適任だね。じゃあさ、香織はチアやれば?」
「えっ」
当然ともいうべくその提案に、香織が少し慌てた。
応援団は、男子の学ランと女子のチアリーダーの衣装が代々引き継がれていて、チアの衣装はフリフリのミニスカート。
香織に似合うに決まっている。
たぶんうちのクラスの男子達も期待している。
あたしが提案した瞬間、まわりの男子のガッツポーズが見えた気がした。