翌朝、目を覚ますと時計は午前十時を示していた。

 げ…店開ける時間過ぎてる!と思ったところで私はハッとした。

 今日は定休日だった。

 奏太が死んでしまってからは時の流れを感じなくなってしまって、曜日感覚も時間感覚も狂い始めていた。

「海、そろそろ起きなよ」

 ドアをノックする音、それからお兄ちゃんの声。

「うん」

 私はタンスから服を出した。手前にあった服を適当に掴んで、それからその奥にある服を取り出してしまったのは、最初に掴んだ服が、奏太にもらった服だったから…。

 奥にあった服は奏太と行ったデートで買った服。

 どの服にも、奏太との思い出がたくさん詰まっていて、なんで今日、こんな気持ちになってしまったのかわからなかった。

 昨日、幸助にドキッとしたあとから、忘れかけていた悲しみが何倍にもなって返ってきたような、そんな気がするんだ…。