翌朝。

「海、ちょっと買い物行ってくれないか?」

 営業時間中、父さんが言った。

「いいよ。何買ってくればいい?」

 私はてっきり、店に関係するものだと思ってた。たとえば食材とか。

「あー、シャンプー買ってきてくれない?」

 危うく後ろにそっくり返るとこだった。

「はぁ!?」

「いや、シャンプー切れちゃってさ」

 ここ、美容室だっけ!?違うよね!?

 食堂だよね?

「どのシャンプー買えばいい?」

「なんでもいいよ。今の奴、合わないから」

 父さんが言った。

「わかった」