赤、青、緑。 いろんな光が闇夜を明るく照らした。 大きな音が静寂を打ち破る。 八月、私は江の島花火を見に来ていた。たった一人で。 去年まで隣にいてくれた奏太は、もういないから。 私はため息をついた。元気を出さなきゃ、ってことはわかってる。 でも、どうしても元気は湧かなくて。 「海」 名前を呼ばれて振り向いた。 「あ」 私は声を上げた。私の後ろに立っていたのは、幸助だった。