スマホの鳴る音で、私は起きた。時間は、夜中の三時。 「はい?」 電話だったから、私は通話ボタンを押した。 『海!?大変なの!奏太が、海に落ちたって!』 私の手から、スマホが滑り落ちた。 『海!?聞いてる!?ねえ!』 電話をかけてくれた、美里の声に返事をする余裕もなかった。 奏太が、海に落ちた―――? 一昨日かわした約束が、脳裏によみがえる。 婚約した、ばかりなのに…。 どうしてなの?