目を覚ますと、隣に奏太の顔があった。

 もう慣れてる筈なのに、プロポーズのあとだと、妙に緊張して、恥ずかしい。

 起き上がろうとして、動けないことに気付いた。

 背中に、奏太の浅黒い腕が回されている。高校時代は華奢だった腕は、漁師生活のせいか、がっちりして筋肉がついていた。

 がっちりした腕に抱きしめられてるんじゃあ、こりゃ動けないわけで。

「奏太…っ、動けないよ」

 私が言うと、奏太が目を開けて、悪戯な笑みを浮かべた。

「おはよ、海」

 おはよ、という前に、奏太にキスされて、のどまで出かかった言葉は消えていった。

「ん…っ」

 奏太は、夜の間と、キスの時だけは、意地悪になる。

 あ、また奏太の欠点見つけちゃった。