第66話 『幽霊電車』 語り手 山﨑大介

 続いての怪談は大ちゃんさんだ。
「なかなかみんな怖い話をしてくれるじゃないか。さすがに十年間暖めてきただけの事はあるな。よし、俺も負けないように頑張るとするか」
 大ちゃんさんはいつになく気合十分な表情で怪談に臨んだ。その表情は野球の真剣勝負に見せる顔と同じなのかもしれない。
「お、お願いします」
 私は唇が変に乾くのを感じつつ、大ちゃんさんの話しに耳を傾けた。
「あれは俺が大学のゼミで、研究室に閉じこもっていた時の事だ」