「でねっ、ケイゴくんったらな、もう激しくって、激しくって」

「…………」

「もう、いつ寝たかわからんくらい、朝までずーっと一緒だったんよ~」

「……あっそ」

「もう、璃里香、ちゃんと聞いてや~」

「聞いてるよ」

「なんなら、もうちょいリアクション頑張ってーや」

「そんな話されて、誰が食いつけるの? ていうか、朝までやって、よく午前中の講義に間に合ったよね」


次の日。あたしは昨日の、いわゆるなつの「熱い夜」について聞かされていた。


なつは大声で話すけど、あたしは人の話には専ら興味がない。


「璃里香がそんなに興味ない人間やとは思わんかったわ」

「なつこそ、真っ昼間からそんなに公然と話せると思わなかった。で、そのケイゴくんとは付き合うことになったの?」

「う~ん、わからん」

「は?」

「連絡先は交換したけどな、そういう話はせんかったし」

「それ、昨日のこと公にしちゃダメじゃないの? フラれたらなつが損するだけだよ」

「いや、あれは気持ちが通じ合った行為やった」

「よくわかんない……」


何が気持ちが通じ合うのか、何が体だけなのか、あたしにはわからない。