なつに連れてこられたのは、知らない家だった。


「ここ、誰の家?」


なつの家なら何回かお邪魔したことがあったから、なつの家ではないことは確かだった。


「ええから、入って入って」


なつに押されるまま二人で家に入ったけど、その家の中には誰もいなかった。


空き家? とも思ったけど家の中は家具が揃っていたし、生活感が溢れていた。


「……なつ、あの、ここの家……」


二階のある部屋に通されて床に座り、なつにおそるおそる尋ねてみる。


「ここな、ケイゴくん家」

「へ?」


あたしの頭の中は「?」で埋め尽くされた。


なんでここにケイゴくんが出てくるの?


「もうすぐ帰ってくるはずやから、戻ってきたら事情は話す。……あ、帰ってきたな」


なつはあたしに今さっき何があったか何も聞かず、ただ黙ってあたしをここに連れてきたのだ。


……どういうこと?


下の玄関から物音が聞こえてきた。