ケータイ小説 野いちご

BRACK☆JACK~序章~

Chance in a Million
【1】





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 炎天下。

 確か天気予報では、本日の最高気温は37.1度とか言っていたような気がする。

 自分の平均体温は35. 7度で、どう考えてもこの周りの空気のほうが1.4度高い。

 体温より暑い気温って一体…。



「………」



 そんな中、ビルの屋上で寝転がってライフルを構えている自分って何なんだろう、と自問自答して。

 ライフルの照準を覗き込むと、500m先の高級ホテルの前に、一台のリムジンが止まるのが見えた。

 暑さでどっかに飛びそうになった意識を無理やり呼び戻して、照準とトリガーを引くその指先に全神経を集中させる。

 丸く狭い視界の中心にターゲットを見据え、今にも車に乗り込もうとしているスーツを着た中年の男の姿を捉える 。



「…ばぁ…ん」



 引き金を引くふりをして、ミサトは少し驚いたように目を見張った。

 ターゲットに寄り添うようにする、ボディーガードの一人。

 その男が、こちらを向いた。



「……うそ」



 ここからあのビルまでの距離は500m。

 肉眼で、しかもビルの屋上 に伏せている自分の姿なんて、見えるはずがない。

 この距離だって、狙撃できるギリギリの場所…それなのに。



(…バン!!)



 こともあろうか、その男は。

 こちらに向かって人差し指を突きつけて。

 しかも、ウインクなんかを寄越している。

 それだけならまだしも、ターゲットを庇うような位置に移動した。



「…ホントに撃ったろか…」



 身を起こしてライフルを下に置き、ミサトは呆れ顔で呟く。

 そして、携帯を取り出した。

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