五月になって、クラスの奴らの名前も覚えた頃。

俺、葉山秋彦もクラスに馴染んだ。

「なぁなぁ、葉山ぁ。おまえは誰が一番だと思う?」

最近俺のクラスでは、男子のなかで何かのランキングをつけるのが流行っていた。

最近よく絡んでくる五島葵が俺のもとに紙を持ってきた。

゙クラスの可愛い女子ランキング゙それはすごくありがちで単純なお題だった。

紙に記入されている名前は四人程度。

「活発で元気系の山田。クールな森下。天然系の青木。単純に顔が可愛い志村。どれも迷うよな〜、葉山はどうする?」

五島がそれぞれ四人を夢見がちな目で見ながらご丁寧に解説してくれる。

俺はというと、目の前におかれた紙に書かれた名前には興味がなく、窓際の席の彼女に目を向ける。

女子と話すでもなく、一人でポツンと席に座っている彼女。

窓から降り注がれている太陽の光にあの時と同じように髪がうす茶色に輝いていた。

「あぁ、冬花か。アイツ何考えてるかわからなくて気持ち悪いよな」

五島が俺の視線をたどって、彼女の名前を口にした。

「そうか?」

「だってさ、誰とも話さないし、いつも一人じゃん?」

五島はつまらないというように肩をすくめた。