大和side

……ボールを両手で持ちシュートの体制で構える。

……だけど、すぐに手を下に下ろした。


俺の手から落ちたボールは何度か跳ねた後に、体育館の端へと転がっていった。


……ハル兄の言葉が頭の中でグルグル回る。


そばにいてくれる人のありがたみ……か。


……栞奈がいなくなるなんて、一度も考えたことなかった。


確かにハル兄の言う通り……栞奈がそばにいることは俺にとっては当たり前で……ずっと変わらないことだと思っていた。

これからも栞奈が俺の隣にいることを信じて疑わなかった。


だけど……当たり前なんて存在しない。

何も変わらないものなんて……ない。


……それを頭の本当に片隅できっと分かってるから……

大切なものを失いたくないから……

……だから俺達は必死で愛し、守り、嫉妬し……時には大切なものを傷つけてしまう。


一番傷つけたくないものを……傷つけてしまう。