リオンside

「リオン様、お車の準備ができました」

「あ……はい」


翌日、身支度を終えた俺はウェルスさんに呼ばれて外に出た。


今日もギラギラと太陽が容赦なく照っている。


……俺は今日、この城を去る。


元々、俺みたいな一般庶民が来れるような場所じゃなかったんだ。


あるべき生活に戻るだけ……。

……そう。

ただ、それだけ――


「リオン様?
どうかなさいましたか?」

「あ、いや……」

「どうぞ。お乗りください」


ウェルスさんに促され、俺はゆっくり車に乗り込む。


その時……ふと、城を振り返って見た。


この国を象徴する立派な建物。

この国をまとめる……王族が住む場所。


俺は……今までこんな場所で生活していたのか。


短い間だったけど……俺はものすごい体験をしていたのか。