かんから、とんとん。

二人の朝は早い。

鳥と共に目覚め、1日が始まる。

山のてっぺんが白けてくる頃には店先に水をまき、寝間着から楽は矢絣の着物を、仁は袴へと着替える。

主に家事は楽。店の事は仁が用意する。

かんから、とんとん。

日に焼けて色の薄くなってしまった、紺碧色(だった)ののれんを掛ければ、もうすっかり外は明るくなっていた。

仁は薄れていく紺に目を細めながら空を仰いだ。