「あっ、あのっ…―!! 松村くん…!! これ、受け取ってくださいっ!!」


教室の前で俺を呼び止めた女は、顔を赤く染めながらペコリと頭を下げて、手紙を差し出してくる。


朝っぱらから何だよ…。めんどくせぇな…。


こういうの、正直うぜぇ…。


俺はそんな女を無視して教室に入った。


「あっ!! 待ってよっ!!」


しつこい…。


それでも女は諦めず、俺の後についてくる。


「これだけでも受け取って?」


女は横から覗きこむように、目を潤ませる。