遠くで誰かが呼んでいるような……気がする。



でも、目を開けるのもめんどくさくぼんやりした意識をシャットダウンしようとすると、懐かしい声が耳に届いた。



「ちょっといつまで寝てんの。冬音(フユネ)さんの料理食べられなくなるよ」



冬音…………?



その名前を聞いた瞬間、何かが引っかかった。






“期待を裏切って悪いけど――まだ、死ぬわけにはいかない。

このままだと、僕の姉さんが救われないからね”






――――真冬






“やましい事があるからよね。ヒトは、都合が悪くなると嘘をつき、隠したがる生き物。

ねぇ、真冬の姉様の事知りたいでしょう……?”






――――夕羅






突然鮮明に記憶が呼び起こされ、隼政は勢いよく飛び起きた。