自転車通学の須賀ちゃんと別れ、わたしは1人薄暗くなってきた道を歩く。

部長のリンゴパイ。
シナモンたっぷりで美味しかったなあ。



調理部では作った物を皆で食べ合って、品評会のようなことをする。

わたしが調理途中で思いついてクリームチーズを入れたレモンシフォンは高評価だった。


ただ、山中さんにはちくりと言われてしまったけれど。



「なんで桜沢さんだけ勝手にレシピを変えたの? 同じ班なのに」


「あ~。ごめんね? 前回使って余ってたチーズを見て、急に思いついちゃって。上手くいくかわからなかったから私のだけでやってみたんだけどさ。ほんとごめん!」


「相談もなしにやられると、不愉快なんだけど。わたしたちのことは、どうせ初心者と思ってるんでしょ?」



そんなことないって言ったけど、山中さんは怒ったまま先に帰ってしまった。

調理のある日は、大抵彼女は怒っている気がする。



わたしは出来る限り山中さんに合わせてやっているつもりだ。


ちょっと腹の立つことを言われても笑って流すし。

須賀ちゃんとの間に立ってフォローもしてる。


調理だって彼女のやり易いようにと、考えてやってるんだけどなあ。

なかなか報われない。