ふたりの唇が何度も重なる強烈な光景が、容赦なく網膜に飛び込んできた。


見ては、だめだ。


抱き合うふたりを、見てはだめだ。


薔薇色に頬を染め、うっとりと目を閉じて恋人の唇を味わっているお姉ちゃんを、見ちゃいけない。


これ以上見たら、あたしは壊れてしまう。


あまりの嫉妬の激しさに、壊れてしまう!


だから今すぐここじゃないどこかへ、行かなきゃ!


あたしはガクガク震える足を引きずって、必死に、その場から逃げ出した……。