ケータイ小説 野いちご

運命みたいに恋してる。

運命と決断の時

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」


 沈黙……。

 私のお母さんと、拓海のお父さんが部屋に入ってきた時から、もうずっとこんな調子。


 貝のように押し黙ったまま、誰も、ひと言も口を利かない。


 拓海とふたりで、顔を見るなり罵倒される展開を覚悟してたのに、拍子抜けしてしまうわ。


 いったいどうしたのかしら?


 このままじゃ、ちっとも話が進まない。七海と大地君、きっと心配して待ってるでしょうに。


 早く会って謝りたい。そして、あたしの口からちゃんと説明したい。


 拓海と赤ちゃんを選んだ、あたしの決意を。


 ……そういえば大女将のテルさんが


『ありゃあ、ちょっとおもしろい子だねぇ』


 って、七海のことを笑ってた。


 この短時間で、ずいぶん気に入られたみたいね。


 名物女将で名の通ったテルさんの心を一瞬で掴むなんて、さすがあたしの自慢の妹だわ。


 それにしてもこの沈黙、すごく痛い。空気が痛い。


 痛すぎて胎教に悪いわ。


 悪口雑言の罵倒の嵐も御免だけれど、大の大人が四人も揃って、ぶすくれたまま口も利かないっていうのは……。


 まるで子どものケンカみたい。

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