ケータイ小説 野いちご

運命みたいに恋してる。

運命と涙と人生と

 来た……。


 ついに、来てしまった……。


 ゴクリと唾を飲み込みながら緊張しているあたしの目の前には、割と小さめな、でも日本家屋風で趣きのある民宿が立っている。


 大きな古い木製の看板には、『癒しの山神』の文字が、太い筆書きで書かれていた。


 ここが目的地だ。ついに来てしまった。


 もちろん、来るために来たんだけれど、いざ目の前にすると緊張感で体が固くなる。


 ノリと勢いでここまで来たけれど、さすがに心臓がバクバクだ。


 うぅ、不安だよぉ。怖いよぉ。全然癒されないよぉ。


「ほら、いつまで突っ立っててもしかたない。行くぞ」


 大地がポンッとあたしの肩を叩いた。


 ビビッているあたしを勇気付けるように、明るい声で話しかけてくる。


「俺さ、昨日の七海の演説、感動した。お前すげえよ」


「演説?」


「戦うべきだ、貫き通せってやつだよ。俺も、俺なりに戦う。こんな状況になったけど、俺たち今でも同志だよな?」


「……うん」


「さあ、戦いに行こうぜ!」


「うん!」


 そうだよ! 大地の言う通り!


 あたしたちは、いまでも同志なんだよね!?


 旗振りしたあたしが、こんな弱気でどうする!? しっかりしなきゃ!

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