その事実が、まるで胸に穴が開いたように寂しくて、悲しい。


それでも、いつまでもここに立っているわけにもいかず、あたしは片づけをするためにトボトボと調理室に向かった。


どうしよう。この自分の感情と、どう向き合えばいいんだろう。


そして、この恋にどうケリをつければいいんだろう。


悶々とした気持ちを抱えたまま調理室に足を踏み入れたあたしは、そこに思いがけない顔を見て驚いた。


「花梨ちゃん?」


花梨ちゃんが制服の袖をまくり上げて、大量のフキンをシンクでザブザブと洗っている。


「な、なんで花梨ちゃんがここにいるの?」


「一海さんがすごく疲れてたから、柿崎さんと一緒に帰ってもらったの。後片付けはあたしがやっておくからって」


「あ、そ、そうなんだ。ありがとう」


「もうほとんど終わっちゃったよ。あとはフキンを干すだけ」


久しぶりに聞く花梨ちゃんの声は、弱った心にじわじわ染みて、ちょっと泣きそうになった。


ねえ、花梨ちゃん。あたしね、聞いてほしいことがあるんだよ……。