ケータイ小説 野いちご

運命みたいに恋してる。

運命に立ちはだかる壁

 雄々しく決意したあの日から、あたしのお店通いが始まった。


 放課後、脇目も振らずにまっすぐカフェへ直行して、到着した瞬間からあたしのご奉仕タイムが始まる。


 まずはお店のテーブルを拭いて、それから床を磨いて、カラフルなお花をテーブルに飾って。


 新聞紙使って窓を磨いて……よし! 今日もピッカピカ! 完璧だ!


 でも……。


「今日もお客さん、来ないなぁ」


 新聞紙片手に窓の曇りを取りながら、あたしは小さな溜め息をついた。


 こうしてカフェを手伝うようになって、つくづく実感したのが、毎日のお客さんの少なさ。


 たまに来てくれるお客さんは、柿崎さんのお友だちばかりなんだ。常連さんってやつね。


 常連さんを掴むのはもちろん大事だけど、いつも同じ顔ぶればかりで、新顔が増える気配が一向にないの。


 商売繁盛に、新規の客の開拓は絶対条件なのになぁ。


「七海ちゃん、いつもお手伝いありがとう」


 後ろから声をかけられてハッと振り向くと、柿崎さんが笑顔であたしを見てる。


「七海ちゃんのお掃除は、相変わらず完璧だね。なのにバイト代も払えなくて、ほんとゴメンね」


「そ、そんな! これはお礼のつもりなんですから!」


 あたしは思い切りブンブンと、手を横に振った。


『お姉ちゃんがいつもお世話になってるお礼に、お店を手伝わせてください』


 っていう、もっともらしい名目であたしはお店通いをしている。


 目的が目的だから、当然バイト代なんて眼中に無い。それに、ここに来れば毎日柿崎さんに接触できるし。


 ただ、いろんな意味での成果はまだ現れていないけど。

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