鬼畜保険医の場合。


「鬼畜保険医って……、俺にも一応名前があるんですがね」


「俺にとっては、保険医は調教師さんだけど」


「あなたみたいな変な名前じゃない俺の名前も、公表してほしいものですよ」


「変だなんて失礼だなぁ。確かに変わっているけど、愛嬌ある響きがいいってよく彼女に言われるんだ。俺の漢字、当て字で覚えにくいっていうのに、書き取りの練習して覚えてくれた彼女が可愛くてしょうがない。俺も前に彼女に会えない寂しさから、ノートに彼女の名前をつらつら書いてみたけど、あれはかなり夢中になれたね。気づいたら朝になって、ノート一冊が愛しい人の名前で埋まったよ。普通、こんなこと出来ないだろ?ああ、俺はこれだけ彼女を愛しているんだと自覚して、悦にさえも浸ったよ。誰かを愛せるって幸せなことだね、ほんとに」


「この回は俺の話で、なぜ健康体なあなたが保健室にいて、見るのに目が痛くなる台詞吐くのか、誰に文句を言うべきですかね」


「俺だって彼女の傍にいたいけど、まだ時期じゃない。もう少し経てば、迎えに行って、彼女と二人っきりの余生を過ごすんだ」


「要は暇つぶしですか」


「暇そうな調教師さんもいるからね」






※鬼畜保険医よりも、ミーちゃん保険医の方が人気あり。