「ただいまー。」


薄暗い中、“仕事”を終えた私は家に帰って来た。


「お帰りなさいませ。
主様。」


玄関で、白い猫耳と尻尾を生やした猫又-使い魔の沙那(サナ)が迎えてくれた。


猫又と言うのは、神通力を備えた猫の妖怪の事。


その猫又である沙那は天瀬家に代々遣える使い魔の1人。


天瀬家では、20歳になるまで使い魔を1人傍に置く事になっている。



私が東京に行く事になった時、この洋館を管理してきた沙那が、今回の使い魔として一緒に仕事をするようになった。



…見た目は9歳の子供だけど、200年以上生きているらしい。



「主様。
ご当主から言伝です。
帰って来たら、すぐ報告するように、との事です。」


「あー…、
分かった。」


なんとなく心当たりがあったので、気が重いまま部屋へ向かった。



* * *


『…ほう。
1日で4体も、妖が出たか……。』



部屋に戻り、ノートパソコンを打ちながら、繁ジィに報告する。


パソコンを打っているのは、報告書を作るため。


仕事じゃ、この日何が起こったのか、プリントにして繁ジィ達に知らせる必要があるからな。



「あぁ。
どれも手強かったし、邪気も強烈だった。

……多分、具合が悪くなったっていうのは、邪気のせいじゃないかな。」