天王宮、光織りなす中庭。


緑に繁る芝の上には、ミルクティー色の緩い天然パーマを揺らす天界の王子が、浮かない表情で立っていた。


「王子様!
これはいったい、どうゆう事なのですか?」


キャスパトレイユを責め立てる、透明感のある女性の声。


「とりあえず、落ち着きましょうよ。
私もキャスパトレイユ様に、お聞きしたい事が、ここまで出ているんですから。」


そう言って、自分の喉に手をあてた、朗らかな女性の声。


この声の発信源の2人の女性は、トルティナとライラであった。


トルティナは、透明感のある清楚な声で、ライラに不満をぶつける。


「ライラさん、私、落ち着けません。
王子様のなさりようは、あんまりです。
王子様は乃莉子様だけを、愛しているのではなかったんですか?」


いつものライラの朗らかな声にも、キャスパトレイユに向けて、痛々しいほどのトゲが含まれていた。


「キャスパトレイユ様。
言い訳を、聞かせていただきましょうか?
後ろに居るお方は、どなたなんですか?」