乃莉子は、自分の体が揺れているのを感じた。


ゆっくりと小刻みに、揺れている。


かなり深い眠りに入っていたようで、この体の揺れが、自分発信ではなく、揺すられているんだという事に気づくまで、しばらく時間を要した。


薄く目を開けて、意識が回復してくると、今度は声まで聞こえてくる。


「乃莉子。
乃莉子・・・起きてよ・・・。」


まだ、はっきりとしない頭を少し持ち上げて、乃莉子は声の主を確認する。


「う・・・ん・・・。キャス・・・?」


「違うよ。」


声の主と目が合って、乃莉子は一気に眠気から覚めた。


「イザヨイさん!」


ガバッと体を起こし、座ったままで後退る。


まじまじと侵入者を見つめて、乃莉子は違和感を覚えた。


「・・・イザヨイさん?
じゃ、ないわね・・・。
あなた・・・誰?
男・・・の子?」


「うん、まぁ、そういう反応になるよね。びっくりした?
僕たち双子なんだ。僕は弟のヨゾラ。
でも・・・へぇ・・・。
イザヨイの言う通り、本当に似てるんだ。
乃莉子って、シラサギに。」


ニコニコしながら、乃莉子を観察する、ヨゾラであった。