イザヨイは、一旦魔界へと引き返して、自室で対策を練っていた。


サテン地の黒い布地に、ピンクの花の刺繍が施された、華やかなベットの上で、頬杖をついて横になっているイザヨイ。


そのイザヨイの自室では、ロッキングチェアに座る、双子の弟ヨゾラが、意地悪そうに猫のようなクリッとした瞳で、楽しそうにイザヨイを観察していた。


視線を感じたイザヨイは、ベットから立ち上がり、当たり前のように、ヨゾラの膝の上に座る。


ヨゾラは、愛しい人を撫でるように、イザヨイの髪に手を滑らせた。


甘えるようにヨゾラの肩に頭を預けて、イザヨイは人間界での出来事を語り始める。


「ねぇ、ヨゾラ聞いて。
乃莉子ってね、シラサギによく似ているの。」


「ふぅん。そう。」


ヨゾラは、漆黒の瞳を潤ませて、イザヨイに相槌をうつ。