乃莉子は今日も、忙しくメルヘンで、通常業務に勤しんでいた。


何人か目のお客さんに、レジで接客を済ませ、乃莉子はフゥっと一息つく。


ニヤついた笑顔でイソイソと、店長の宮田がレジの方に近づいて来るのに気づき、乃莉子は何だろうと気を引き締めた。


「広木さ~ん。
今、喫茶ヤザキのマスターから電話があってねぇ。
若い女の子向けの雑誌、配達してほしいって頼まれたんだけどぉ。
ちょっと、行って来てもらえるかなぁ?
僕、店番してるからさぁ。」


「あっ、はい。いいですよ。
どの雑誌持って行きますか?」


「それはね、広木さんに任せるってさぁ。
矢崎さん、若い子向けの女性誌なんて、分からないからって。適当に二~三冊見繕って、持って行ってあげてよぉ。」


「私の好みでいいのかなぁ?
分かりました。
行って来ます。」