「あら、可愛いお弁当ね。 手作り?」




片手で安々と掴めるちっちゃな、色鮮やかな具材たっぷりのお弁当を可愛いと褒めているこの上司。




「ちょっとアナタ、指が切れてるじゃない。 絆創膏あげるから貼っときなさい。」




いつも常備しているのか、スーツの裏ポケットから絆創膏を出す女子力の高いこの上司。




「七ちゃん、今夜は用があるんじゃなかったの? ほら、ちょっと手伝ったげるからやる気だしなさい。」


「えぇっ、いや……悪いですよ。」


「遠慮しないの、今日は結局残らないといけない用事があるからいいのよ。」




私のデスクの上に重苦しく鎮座していた紙束を軽々しく持ち上げ、爽やかに斜め前の自席に戻っていったこの上司。



口調は優雅で優しく諭す様

やる事なす事いちいち紳士で

それでいて、仕事も出来る




しかし、勘違いしてはいけない。

女と思えば頼りがいのある立派なキャリアウーマンに感じる事だろう。





………だがしかしBat、



紛れも無く、この上司は男であった……。