――…それは、突然だった。






「未央、急なんだかパパは仕事でアメリカに赴任する事になったんだ」


「……赴任?」






自由を愛するあたしの両親は、いつになく真剣な顔でテーブルをはさんで座っている。


なんの前触れもなく、あたしにとんでもない報告をするパパは、全然悪びれるようすもなくて。
隣に座るママも、穏やかに微笑んでいた。




「それでね、ママもパパについてアメリカに行こうと思うの」


「ママも!?」




ちょっと待って!

ママまで行ってしまうと言うことはあたしは一人になってしまう。


この春から高校に通い始めたばかりなのに、もう転校しちゃうの!?



「で、でもあたしっ……」



慌てて身を乗り出すと、パパはにっこり笑って言った。




「未央」




パパはあたしの言葉を遮るとさらにこう続ける。




「未央は今まで通り日本に残って高校に通いなさい」







――――……え?