振り返ったあたしの瞳に映った人。

それは 要 だった。



「……な、なんで」



今のを聞かれちゃった?


―――要に?


あたしは言葉にならない声を出し、まるで金魚のように口をパクパクさせた。


要にとって、一番不釣り合いな図書室にどうしているのかがわからなかった。


要はその表情を歪めて頭を擦りながら、本棚の影からその姿を現した。
そして、あたしと旬にちらっと視線を向ける。



「あー……俺、何も聞いてないから」



要はそのままあたし達をすり抜けようとしたけど、それを旬が引き止めた。



「お前が……相田?」




旬が要に声をかけたからあたしは飛び上がりそうになった。