「…秋夜、」


目の前の旧校舎の扉を開け、中に入る。
ふと、落ちていた新しいビニール傘が目に入った。
秋夜が持っていた物だろうか、そう考えると何だか嬉しくなり傘を抱き締める。



何時までそうしていただろうか、雨の音に気付けば外は暗くなっていた。

俺はゆっくりと立ち上がり階段を上る。
ゆっくりと、だが着実に。

古びた夜の旧校舎でも、不気味とは思わなかった。
傘を持って居るからかだろうか?
自然と口角が上がる。


屋上の扉を開けようとした時、ふと携帯が鳴る。


秋夜からか?と多少期待してみるも、架名からだった。