「今年の鈴高男前コンテスト優勝者はー…神崎悠!」



響き渡る歓声。

その多くは、女独特の「キャー」という甲高い声だ。

ステージに立つ、一人の姿。

そこにたつ人こそ、神崎悠本人だ。

身長は男前という割に、165と小柄だが、凛々しい目付き、柔らかそうな髪、それながら芯のこもった瞳。

絵本から出てきたような王子様そのものだ。

女子の歓声が静かにならないのも仕方がないくらいの、それほど完璧な美少年そのものだ。


「きゃーぁぁ!カッコいい悠くん」
「流石悠くん!」
「悠ちゃんナイス!」


一つ訂正させて、頂こう。

悠ちゃん。

一人の女生徒が

“ちゃん”。

と呼んでいた。

これはあだ名などでは、ない。

“くん”ではなく、“ちゃん”が正しいのだ。

これが正しい。

ステージに立つ男前、


(はぁ、なんであたしが男前コンテストなんかで、優勝してんだよ)


彼は女なのだ。