少し冷たくなってきた指先で枕元にある写真立てに触れると、写真立ては窓際から零れる日の光を浴びて優しい温かさをまとっていた。色褪せた写真の中で微笑む彼女の温もりを想い出して、とうの昔に枯れ果てたと思っていた涙がじわりと瞼を濡らす。

 …何処か儚さを感じた彼女の笑顔を、私は今でも鮮明に想い出す事が出来る。

 ただひたすら真っ直ぐに彼女を想っていた頃を。…同じように、彼女が私を真っ直ぐに想ってくれていた頃を。