「あ、そうだ」


廃墟と化した病院の中、数歩歩いたところで、五十嵐くんがあたしを振り返った。


「心優。
こうして俺と手ェ繋いでるのと。
俺の腕につかまってるの、どっちがいい?」


そんなことを言いながら、五十嵐くんは、掴んだあたしの手をぷらぷら振った。


「俺はどっちでもいいから、心優に選ばせてやるよ」


「……っ」