妃絽は不機嫌だった。



何故、妃絽が不機嫌なのかというと、理由は簡単。



昨晩、空から降って来て、奇っ怪な格好が怪しいと、強制的に拘束されたからだ。



奇っ怪な格好と言っても、妃絽はTシャツにショーパン、夏樹は高校の制服だ。



言い訳も聞いては貰えず、妃絽には苛立ちだけが募っていた。



その苛立ちは一夜明けた今も治まることはなかった。



そんな彼女の目の前には昨日の男達と見知らぬ男、左側には夏樹がいた。



男達の格好が和服であること、昨晩浅葱色の羽織を着ていたことから此処は幕末で、彼らが新選組だと言うことが分かった。