【琴音】



テスト前だというのに、元気になったヒョウは勉強をしない。



日本史なんかはついこの前からしか勉強してないのに…。



「お嬢様、これは暗記ですよ」

「覚えるの苦手…」

「存じております」

「さりげなくけなしたよね?」

「とんでもない。ニワトリも3歩あるけば忘れるというじゃありませんか」



執事モードのヒョウの毒舌は健在で。



もう勉強したくない…。



だけど、これだけは勝てる気がする。



「ヒョウってピアノ弾ける?」

「えぇ、7歳から14歳までプロにご指導いただいておりました」

「ヴァイオリンは?」

「8の時に龍馬様のパーティで演奏させていただきましたが…」



音楽苦手だって言ってたじゃん!!



勝てるモノが何もなかった…。



「しかし、音楽を聴いて、情景や感情を読み取ることはできません」

「えっ!?」

「自分がどう感じたかと聞かれても、何も感じないので聞かれても困るのです」



そう…だったんだ…。