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「…………………」

「お…、…ろ」


何だろう…なんかうるさい…。


「おい、…きろ!」

「んっ……うぅ…」


うるさいなぁ…。
嫌々目を開けると…。


「目が覚めたみたいだな。何でこんな所で寝てるんだお前は」

「……………」


目覚めてすぐ、漆黒の髪と瞳の男性の心配そうな顔が視界に入ってきた。



「わー……」


……ありえない!!
めちゃくちゃ格好いんですけど!!!


何これ、何これ!!
私夢見てる………?


ポカーンと男性を見つめていると、男性はあたしの目の前で手をヒラヒラと振った。


「おい、起きてるか?」

「あっ…はい!!」


目が覚めました!!
あなたのおかげで!!!


黒いマントに銀の剣なんか腰にさして、本当王子様みたい…。


王子様みたい……王子様…みた……い!?


私はガバッと立ち上がり、周りを見渡した。


「何ここ!!!!」


広がる青空に森、今私は大自然の中にいる。



あたし、さっきまで自分の部屋にいたのに、まさか……。
ここが…物語の世界!!?


「おい、どうした」

「あの…ここはどこでしょうか…」


恐る恐る尋ねる。
ここが本の世界なら……。