すっかり、クラスで浮いてしまった私。


昼休みはいつも、立入禁止となっている屋上へ続く扉の前で過ごす。



こんなところは誰も来ないはずなのに、G.W.明けのこの日は先客がいた。


ショートの赤茶色の髪を逆立てて固めた少女が、左耳に安全ピンを突き立てているところだった。


うわ…、痛そう…。


ピアスをするために、こんなことしてるのかな?


でも、学校はピアス禁止のはず。




少し怖いけど、彼女に声をかけることにした。


「ごきげんよう、耳は痛くないのかしら?」


私の声に、彼女は灰色がかった目をこちらに向けた。



その髪と目の色を見て、彼女がアンジェリーナという名前から『ダークエンジェル』という異名を持つ少女だと分かった。


「何しに、来た?」


少し低めの声で言い放ち、冷たい視線を私に送る。



「私、いつもここでお昼を過ごしますの。」


「じゃあ、邪魔したのは私の方ってワケね…。」


「邪魔だなんて思っていませんわ。

坂下HRの余合梨香と申します。

良かったら、お昼ご一緒しませんか?」