きっかけは些細なことだった。

中学の頃、クラスで一番気が強くて目立つ女の子がいた。何故かその子とあたしは結構仲が良くて。


「あたし、難波くんのこと好きなんだよねー。ねぇ、美波も協力してよ。あたしと難波くんが上手くいくように!」


リーダーみたいな子だったし、あたしも友達だと思ってたから何も思わずに頷いた。

難波くんのことは何とも思ってないし、協力して喜んでくれるなら、と。


「ありがと!美波大好き!」

事態が変わったのは、その日から1週間経ってからのことだった。

朝登校して、教室に入ったときに向けられたみんなの冷たい視線は思い出すと今でも怖い。


「難波くん、あんたのこと好きなんだって。協力するって言ったくせに最低。ほんとムカツクんだけど。」


理不尽だと思った。

あたしは何もしてないんだもん。

ただ、難波くんがたまたまあたしを好きで、それを知らなかったあたしが協力する、と言ってしまっただけなのに。


「ごめん、あたし知らなくて…」

「は?嘘つくなよ」


じゃあどう言えばいいの、って思ったけど、それよりも先のことが心配になった。