(一)


(ヤるっきゃねぇ、マジでヤるっきゃねえよ!)


危険なことで内心をぎらつかせつつ、廊下の左側をぴょこぴょこ歩く犬童に、学園のみんなはにこにこ微笑む。


(つか、あの根暗、いつから見てたんだ。影薄いからって、覗きスキル兼ね備えてんじゃねえよ。人の噂集めて、弱味握るだなんて、クソ野郎の決定版だな。EDのくせに、下の毛はシラミ持ちってデマ流すぞ、あの野郎)


「苺ちゃんだー、可愛いー」


「ねえ、癒されるねー」


「そ、そんな、ボクは男の子だから、カッコイイって言われたいのにぃ……。ふえぇ、お姉ちゃんたちの方が、ずぅっとカワイイよ?」


「「ぶふっ」」


脇役女性徒、エンジェルスマイルに鼻血吹き出す。


(は、股ぐら以外でも血ぃ流してろや、見た目年増のてめえらより、オレのが断然カワイイっつーの。豚もおだてりゃ、調子に乗るってか。『可愛く憎めないのは謙虚な子設定』にノックダウンして、ひれ伏せ、雌豚)


「ちょ、女子が倒れたぞっ。保険医いいぃ!」


ひれ伏すどころか、出血多量で気絶してます。