(一) うろこ雲が列をなす、秋の夕暮れ。 「お嬢ちゃん、アメあげるから、こっちにおいで」 何とも、古典的な手法で、路肩に車を停めたおっさんが、学校帰りの子供を手招く。 「え、アメですかーっ。わああいっ」 跳ねっ毛をぴょんぴょんさせた、小柄な児童。ピンク色のランドセルを背負うところを見ると、小学生。 声をかけたおっさんも、まさかこんな簡単に引っ掛かるとは、と内心罪悪感に駆られながらも、その小さな体を舐めるように見る。