次の日、俺は講義そっちのけで携帯でレストランを探した。吉田栞の大学からもここからも程近い場所で、洒落た感じのレストランを。

なんせ相手はセレブなお嬢様だからな、せめて最初ぐらいは気張らないと……


すると、ある中華レストランが目に止まった。洋食はバイトで嫌という程食ってるし、日本食は堅苦しいイメージだから、中華がいいんじゃないかと思ったのだ。メニューを見たらかなり高かったが、まあ仕方ないな。


すぐに明日の予約を済ませると、早速吉田栞宛てにメールを書いた。


『こんにちは。早速ですが、明日の夜、食事に行きませんか?』


なんだ、これ。俺にしてはやけにバカ丁寧な文章だが、まあいいか。俺はメールという奴がどうにも苦手だ。


送信してから気付いたが、手順が逆だった気がする。つまり、レストランを予約するのは、吉田栞がオーケーしてからにすべきだった。俺はこういう事に慣れてないからなあ。


吉田栞よ、断るんじゃねえぞ?